ベンゾ依存に陥った医師による減薬方針:患者を救うベンゾ離脱法10の心得

    ベンゾ依存に陥った医師による減薬方針 : 患者を救うベンゾ離脱法10の心得


    米国の医療従事者向けサイト「KevinMD.com」に「10 tips to help patients through benzodiazepine withdrawal」(訳:患者を救うベンゾ離脱法10の心得)という記事が載っていますので、和訳して掲載します。




    記事の著者は
    現役の心臓病専門医
    ベンゾ処方量依存になり離脱を経験しているドクターです。

    (アイドライ症候群による激痛のため不眠にて数週間Xanax低用量を服用、Xanaxに依存形成。 現在はテーパリングにより減薬中で復帰間近。)

    Xanax = アルプラゾラム、ソラナックス 



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    患者を救うベンゾ離脱法10の心得 和訳



    医師として、私たちは処方薬の専門家です。しかし、ベンゾ離脱症状を認識しテーパリングで投薬をすることについては、しばしば見事に失敗します。それはただ単に私たちの医療トレーニングが欠けているからです。以前のブログ記事で詳しく述べたように、私はベンゾジアゼピン薬の犠牲になりました。ベンゾジアゼピンというのは、ほんとうにテーパリングするのがなかなか難しい薬物です。離脱のプロセスで私が得た知恵の一部をお話したいと思います。患者がベンゾジアゼピン離脱を成功させる、10のヒントをお伝えします。 

    免責事項:ここで申し上げることはすべて身体的依存(訳注:dependency)に陥っている患者に対してであり、中毒(訳注:abuse)やアディクション(訳注:addiction)の兆候を示す患者に対してではありません。 




    1.患者を信じて 


    離脱症状はしばしば薬物を求めてさまよい歩くドラッグ中毒者のように見え、そのように分類してしまいそうですが、それは真実ではありません。医師としてなかなか困難かもしれないが、もしあなたの患者が処方された通りの服用をしていたのなら、それは確かに“ベンゾジアゼピン離脱症状”であり、それは確かに存在し、そして様々な症状を呈することを認識してください。彼らの症状を少しでもいいから注意深く検証することが、長い目で見て最終的に患者の苦痛を緩和することにつながります。 





    2.テーパー、テーパー、とにかくテーパー (訳注: taperまたはtapering. タイトレーションの事)


    一気断薬や「解毒」と称した薬剤を抜くような行為はけしてしないでください。もう一度言います。薬を抜く、という行為はけっしてしないように。数パーセントなら問題ありません、が一気断薬(訳注: cold turkey)ですと数年にわたる破滅的な離脱症状に見舞われることになります。突然の断薬によって、5年かまたはそれ以上、残酷な症状が続いている多くの友人がいます。非常に微細なテーパリングのみが、この不必要な拷問を回避する唯一の方法です。けしてあなたの患者でロシアンルーレットを試さないで下さい。 





    3.長期間作用型のベンゾジアゼピンへの切り替えを検討して 


    Xanax(訳注:アルプラゾラム、ソラナックス)やAtivan(訳注:ロラゼパム、ワイパックス)などの短い半減期のベンゾジアゼピンは、投与と投与の間隙に禁断症状が発生するため、テーパするのが難しい場合があります。Valium(訳注:ジアゼパム、セルシン)のような長時間作用するベンゾジアゼピンはこの問題を緩和しますし、力価が低めで離脱が比較的易しい場合があります。もちろん、現在服用中のベンゾから直接テーパリングするのもシンプルではあるし、それはそれで構わないとおもいます。 





    4.患者主導で、症状ベースで 


    患者主導で症状ベースでのテーパリングがベストです。時間はかかりますが、患者が認容可能な症状のままで減薬していくにはこれしかありません。テーパリングに正しい答えは1つではありません。多くのオプションが存在します。患者はあなたの優れた指導、支援を借りて、自分にあった方法をみずから見つけだす必要があります。 





    5.他剤の追加は基本的に必要ない。が助けになることもある。 


    残念ながら、本当に有益な文献は見つからないのですが、ごくわずかな研究や症例報告では、ガバペンチン、カルバマゼピン、プロプラノロールなどの薬物が離脱の助けとなることが示されています。トラゾドン、ミルタザピン、クエチアピンは、不眠対策には役立つでしょう。(訳注:不眠は離脱症状のひとつでしかなく、さらに厳しい身体症状・精神症状がいくつも出る)。一部の患者はCBD油または医療用マリファナの使用により禁断症状の緩和を報告しています。しかし全員に効くかはわかりません。それに、補助的に追加したそれらの薬剤も最後にテーパリングで退薬しなければならない可能性もあります。 


     



    6.症状への対処法を学ばせる 


    離脱症状が日毎変動によってキツイときもあります。それに対処する方法が非常に重要です。気晴らし、瞑想/リラクゼーション、温かいお風呂、外出、散歩。患者はそういう辛いときはとりあえず1分生き延びる、ということを学ばせます。そしてあの時1分生き延びたのだから今回も、という具合に、ボクシングで言えば1ラウンドづつ生き続けていくことを積み重ねていくわけです。 


     

    7.許容の気持ちをもたせる 


    テーパリングによる減薬はとても長い時間がかかります。ベンゾジアゼピン離脱に関してはわたしの先輩である友人のひとりは、「不快から快適を得る」「症状にとらわれない」という言葉を彼の主治医と共有していました。簡単なことではありません。努力と継続が必要です。しかし、離脱を成功させるためには大切な鍵となります。 


     



    8.心理社会的支援の有用性 


    たったひとりで離脱プロセスをやりぬく人もいます。わたしは彼らがどのようにしているのか知りません。どうやら、家族や友人、同僚に自分の状況と症状を自分で説明し、納得してもらい、必要なサポートを受ける。身近な心理的な援助は軽視できない、ということなのでしょう。なので、あなたの患者のご家族に、患者ご自身が困難な状況に直面していること、そしてベンゾジアゼピン離脱症状とはどんなものか、ということを説明してあげてください。時間をかけてでも。 




     9.インターネットを恐れない/否定しない 


    そう、私たち医師はみんな「インターネット」(訳注:Dr.Google)が大嫌いです。しかし、ことベンゾジアゼピンに限っては、ネットはわたしの命を救いました。ちょっとネットサーフィンするだけで、わたしの離脱症状の原因はなんなのかを理解することができたのです。ベンゾジアゼピン離脱症候群は、私たち医療者の間であまり認識されておらず、理解されていないので、患者がオンラインで入手した情報を持ってくるとイラッとするかもしれませんが、まずそれを読み話を聞いてあげて下さい。そのちょっとした情報がひとつの命を救うかもしれません。BenzoBuddiesやBenzodiazepine RecoveryのようなFacebookグループやオンラインサポートグループは、私の減薬開始頃は、私にとって非常に貴重な情報ソースでした。わたしは、わたしが何に直面しているか熟知している世界中のおなじ被害者たちと友人になれました。ただそういったフォーラムは、時として巨大で、情報も玉石混合なので、患者がそれらに費やす時間には注意が必要です。テーパリングがかなり進んだ今となっては、わたしはほんのコアな友人だけに絞って、電話やチャットができる独自の小さなフォーラムを作ったので、いまはそれだけに頼ることができています。 


     


    10.安心感を与えて 


    どんなに時間がかかっても、あなたがあなたの患者をサポートし続けると約束してあげてください。 


     


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     クリスティーハーフ(心臓病学者。ベンゾジアゼピンインフォメーション協議会ディレクター)



    クリスティーン ハーフ医師






     

    ベンゾジアゼピンの減薬は年単位で!!!!!

     

    参考になる本を紹介しておきます。


    常葉まり子著 向精神薬の減薬・断薬メンタルサポートハンドブック

    一気断薬した患者が、再服用から回復するまでの事例が詳しく載っています。
    この事例では「一気もしくは短期断薬した場合、これほどまでに大変な状況になる」という実例として参考になります。
    回復までにじつに4年近くかかっていますが、後遺症がないようなのでまだ良いほうかもしれません。
    10年かかっても後遺症が残り、障碍者として後世を過ごす被害者が6人に1人の割合でいらっしゃいます(米国Benzodiazepine Information Collitionのデータより)。


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    プロフィール

    benzoinfo

    Author:benzoinfo
    【今世紀最大の薬害】推定依存形成者365万人(日本)、1000万人(米国)
    睡眠薬・抗不安薬の減薬はかならず年単位で!

    飲み続けていませんか…? ソラナックス、デバス、レンドルミン、サイレース、ロラゼパム、フルニトラゼパム、アルプラゾラム、メイラックス、etc...

    このブログは、なにも知らずに飲み続けている日本人7百万人のベンゾジアゼピン系おクスリ服用者の方のために、わたしの実体験にもとづいて作りました。

    患者へ向けて

    患者(被害者)のみなさまへ: ベンゾ減薬法や離脱に関連する参考記事です。

    ドクターへ向けて

    ドクターのみなさまへ: ベンゾ離脱のガイドライン、臨床研究、論文に関する記事です。

    メディアに向けて

    メディアのみなさまへ: 処方内ベンゾの被害者事例です。 米国ではほぼ単剤処方ですがそれでもこれほど悲惨なものです。片や日本では数年以上の多剤長期処方が過半を占めます。

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